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全国3000店以上の餃子を食べ歩いたマニアが推す、わざわざ食べに行くべきご当地餃子の名店6つ

全国3000店以上の餃子を食べ歩いたマニアが推す、わざわざ食べに行くべきご当地餃子の名店6つ

みなさま、餃子は好きですか? 私は餃子が好き過ぎて餃子専門サイト「東京餃子通信」を立ち上げてしまった塚田亮一と申します。

美味しい餃子を求めて全国各地を食べ歩く生活を10年以上続けておりまして、これまでに食べ歩いた餃子店は3000店を超えています。それだけ食べ比べてもなお、各地で食べられる特徴的な餃子との新しい出会いに驚かされる毎日です。そこで皆さんにもそんな驚きをお届けしたく、本稿では「わざわざ行ってもらいたい、絶品のご当地餃子店」を紹介したいと思います。

ご当地餃子が今アツイ

今では日本の国民食の一つと言っても過言ではない餃子ですが、日本に定着し始めたのは戦後の話でした。戦後の復興期に中国からの引揚者やその関係者によって餃子が全国各地に広まったと言われています。当時は手に入る食材も少なかったため、その土地土地で手に入りやすかった食材や設備で餃子店が始められたそうです。また、餃子は焼き、水、蒸し、揚げと調理方法や中に入れる餡の具材、タレの種類も豊富で、かなり自由な料理です。このため、地域によって作り方や食べ方が独自進化し、さまざまなご当地餃子が誕生しました。

そんなご当地餃子に、近年アツイ注目が集まっています。冷凍技術の進化もあり、小資本の餃子店でも気軽に冷凍餃子の通信販売を始められるようになり、全国のご当地餃子や行列必至の有名店の餃子が自宅にお取り寄せして食べられるようになりました。これがコロナ禍の内食需要拡大の波にのり一大ブームになっています。

皆さんもお取り寄せ餃子や無人販売店の冷凍餃子などで普段と違う餃子を食べる機会が増えたのではないでしょうか?いまでは餃子の選択肢も増え、その中から自分の好みの餃子を選ぶ時代になりました。

手軽に全国の餃子を食べ比べられるようになった一方で、お店にわざわざ行って食べる餃子の魅力も増しています。家とお店では焼き方一つとっても大きく異なりますし、実際にお店で食べるとそのお店の雰囲気や歴史なども含めて餃子を楽しめ、その「体験」が餃子の魅力を何倍も引き出し、より一層おいしく感じられるはずです。

手軽に全国の餃子を食べ比べられるようになった一方で、お店にわざわざ行って食べる餃子の魅力も増しています。家とお店では焼き方一つとっても大きく異なりますし、実際にお店で食べるとそのお店の雰囲気や歴史なども含めて餃子を楽しめ、その「体験」が餃子の魅力を何倍も引き出し、より一層おいしく感じられるはずです。

さまざまな餃子の選択肢の中から、わざわざ地方まで行って現地で食べたいご当地餃子の名店を厳選して紹介していきたいと思います。

わざわざ行くべきご当地餃子6名店

温泉を楽しんだ後は、円盤焼き餃子で舌鼓「餃子 照井 飯坂本店」(福島県福島市)

福島市は全国有数のご当地餃子が盛んな地域の一つです。戦後、満洲からの引揚者や復員兵が集まり、現地で作り方を学んでいたため餃子を出す店も多く誕生したといわれています。

こうした歴史から、現在でも60年近い歴史のある餃子専門店が何軒も存在しています。戦後の闇市ではフライパンで一気にたくさんの餃子を焼いていましたが、この独特な作り方はいまも福島の餃子のアイデンティティとして息づいているのです。餃子を円盤状に並べて焼き上げ、そのままお皿に移して出す焼き方は、「福島円盤餃子」として福島市内にご当地の味として、広く浸透しています。

こんな福島餃子の老舗店の一つである「餃子の照井」は、1953年に飯坂温泉で居酒屋として創業。先代の店主が戦時中に中国で食べた餃子の味を試行錯誤して再現し、その後餃子専門店になりました。

飯坂温泉は福島市中心部から北に10kmほど上ったところにある温泉街。ヤマトタケル伝説にも登場する古湯で、江戸時代には松尾芭蕉が泊まり、正岡子規や与謝野晶子らが訪れ句を詠んだとされている東北有数の名湯の一つとされています。

飯坂温泉の中心地にある餃子の照井の前には餃子を求めるお客さんが開店前から並ぶのが日常の風景です。

入店待ちをするスペースには足湯があり、疲れを癒やしつつ順番待ちをすることもできます。

さて、照井の餃子は自家製の皮にキャベツたっぷりの餡を包み、フライパンで円盤型に焼き上げます。油をたっぷり入れて揚げ焼きにするのが、先代が生み出した照井流の焼き方。お皿に盛られた焼き色の美しさは感動モノです。

一皿22個と多めに思えますが、パリッと軽い食感とキャベツ中心のあっさりした餡なので、女性でも一人一皿は余裕で食べられると思います。

餃子の照井をはじめとした福島の餃子専門店は、材料だけでなく自家製の皮、手包み、フライパンでの円盤焼きといった「技法」へのこだわりが強いため福島市外への出店やお取り寄せをほとんど行っていません。福島に行かないと食べられない、希少なご当地餃子です。

足湯と円盤餃子が同時に楽しめるお店は福島でも餃子の照井だけです。ぜひ足を運んでみてください。

サクサクの食感を楽しめる俵型で黄金色の餃子「ホワイト餃子 野田本店」(千葉県野田市)

特徴的な餃子は全国に数あれど、とりわけ異彩を放つのが「ホワイト餃子」です。今では宮城県から鹿児島県まで支店や技術連鎖店を抱え、各地で「ホワ餃」の愛称で多くのファンに愛されています。

そして、「ホワ餃」ファンにとっての聖地的な扱いとなっているのが創業店である「ホワイト餃子店 野田本店」。東武アーバンパークライン(東部野田線)の愛宕駅から少し歩くと、住宅街のど真ん中に突如現れるモアイ像が目印です。

日中は生冷凍餃子の持ち帰り専門店として営業をしています。毎朝開店前から長蛇の列ができて昼前には売り切れてしまうという人気っぷり。店内で食べられるのは17時からの夜営業のみで、夜も行列必至の人気店です。

全国の「ホワ餃」ファンをここまで惹きつけるのが、俵型で黄金色のオリジナリティあふれる餃子です。

こちらのホワイト餃子を見た際に「全然白く無いのになぜホワイト餃子?」と思ったのですが、実は店名の由来は創業者に餃子の作り方を教えてくれた白(パク)さんへのリスペクトからなんだそう。

この餃子の特徴は、餃子を茹でている(蒸し焼き)途中で油を投入して揚げ焼きに仕上げるという、極めて特殊な焼き方。この焼き方のお陰で餃子が軽くサクッと仕上がります。

ホワイト餃子は、揚げ焼きで熱々の状態で運ばれてくるので迂闊に頬張ると口の中を火傷するので気を付けましょう。猫舌の方は、餃子に箸で穴を開けて中の熱気を少し逃してから食べると安全です。

フランスパンでも使う準強力粉を使った皮はサクサクっとした食感に焼き上がっています。

サクサクの皮の中にはニラと香辛料の香る餡が詰まっていて、食欲がそそられます。そのまま食べても美味しいのですが、味付けは優しめなので酢醤油に一味唐辛子などを足してピリッと辛味を効かせて食べるのもおすすめです。

パクパクとどんどん箸が進んでいくので一人で20個ぐらいは軽く食べられちゃうと思いますよ。

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フランスパンでも使う準強力粉を使った皮はサクサクっとした食感に焼き上がっています。

サクサクの皮の中にはニラと香辛料の香る餡が詰まっていて、食欲がそそられます。そのまま食べても美味しいのですが、味付けは優しめなので酢醤油に一味唐辛子などを足してピリッと辛味を効かせて食べるのもおすすめです。

パクパクとどんどん箸が進んでいくので一人で20個ぐらいは軽く食べられちゃうと思いますよ。

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モチモチジューシーな水餃子を門外不出のタレで味わう「山東」(神奈川県横浜市)

横浜市中区にある横浜中華街は、広さ500平方メートルと言わずと知れた国内最大の中華街です。ここには約200店舗の本格的な中国料理専門店がひしめき合っていますが、中でも美味しい餃子が食べられると言われているのが中国家庭料理店「山東」です。1985年創業の山東は、その餃子の人気に反して店舗が小さく、いつもお店の前に長い行列ができているお店としても知られていました(現在は大型店舗の本館がオープンしたため、多少は行列が解消されています)。2015年には横浜中華街では初めてミシュランガイドのビブグルマンカテゴリに選出されています。

山東の看板メニューは焼き餃子ではなく水餃子です。水餃子は中国の家庭料理の代表格で、年越しやお祝い事などで親族などが集まる際に、各家庭で大量の水餃子が作られ振る舞われます。

山東の水餃子は職人さんが一つ一つ皮伸ばしから丁寧に作る餃子は餡がたっぷりと包まれた丸みを帯びた形状をしています。弾力のあるモチモチっとした皮の中に包まれているのは鹿児島産のもち豚ベースのジューシーな餡。

肉汁が飛び出ますので気をつけて食べてください。ニラもどっさりと練り込まれていて、ニラの香りが口中に広がります。

そして山東の餃子の一番の特徴はオリジナルのココナッツダレ。

醤油をベースにココナッツパウダーや様々な香辛料がブレンドされていて、そのレシピは門外不出。極々一部の人しかその作り方を知らないそうです。ココナッツの甘い香りと香辛料が織りなす複雑な味が水餃子の肉汁と合わさり、得も言われぬ美味しさになります。クセになる風味なので一度ハマるとまた食べたくなるんですよね。

山東ではノーマルの水餃子の他にセロリを使った香りの爽やかなセロリ水餃子や、海老やホタテなどの海鮮類をたっぷり練り込んだ旨味抜群の桃肌水餃子など、具材を変えた水餃子も楽しめますので、ぜひお店で食べ比べをしてみてください。

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焼いた後に茹でる!?唯一無二の餃子がある「中央亭」(静岡県沼津市)

静岡県沼津市には、年末の年越しや法事の引き出物にも使われるほど生活に密着した餃子店があります。沼津駅の南口から徒歩5分ほどのところに新店舗を2022年にオープンした「中央」では、毎日11時の開店時には長蛇の列ができ、ひっきりなしに持ち帰り餃子の注文の電話がなり、お昼すぎには餃子が売り切れになるのが日常です。メニューはシンプルに餃子(大・中・小)とライスのみで営業しています。

中央亭では餃子を「包む」ではなく「握る」と言い、長方形の皮を使って小さなおにぎりの様な形に仕上げます。また、調理方法も衝撃的で、フライパンで餃子に香ばしい焼き色を付けた後にたっぷりとお湯を足してグツグツと茹でてしまうんです。茹で上がった餃子は、パリパリ感は全くなくしっとりとした状態でお皿に盛られて運ばれてきます。

中央亭では、戦後にこのスタイルの餃子が誕生し、現在までその製法が受け継がれています。

焼いた後に茹でたこの餃子は、皮に適度に水分を含み箸で持ち上げるとズッシリとした重みを感じます。そして餃子にかぶりつくと、皮の中からは旨味たっぷりの肉汁がジュワッと溢れ出てきます。

挽き肉とキャベツの爽やかなシャキシャキ食感がとても良く、シンプルな味付けですがクセになります。そしてこの餃子のアクセントとなっているのが後から追っかけてくる焼き目の香ばしさです。焼き餃子ではなく、「香ばしい水餃子」という表現の方が正しいのかもしれません。

自家製の餃子のタレにからし油を足して食べるのが中央亭での定番の食べ方です。一味唐辛子を足してピリッと刺激を入れて味変するのもおすすめです。

餃子をたくさん食べたい方は餃子のみを攻めるのも手ですが、この旨みたっぷりの肉汁があふれる餃子はライスとの愛称も抜群です。ライスに添えられてくる紅生姜を箸休めにするとライスも餃子もあっという間に消えていきます。

創業以来、支店も暖簾分けも通販も一切行っていないので、この餃子が食べられるのは沼津の中央亭だけですよ。

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かわいらしい見た目とは裏腹に皮の中に熱々の肉汁が!「岐州」(岐阜県岐阜市)

岐阜駅近くにある餃子専門店「岐州」も、毎日長い行列ができることで有名なお店です。私が訪問した際は週末だったということもありその待ち時間はなんと2時間。これは現在までに私が餃子を食べるために並んだ最長記録です。

台湾にある有名店の料理長のもとで修行し、東京や名古屋で腕を振るった店主さんが全国の餃子を食べ歩き、8年間の構想を経て餃子を完成させ、「岐州」を創業したのが2006年。その美味しさが話題を呼び、瞬く間に行列必至の人気店となりました。行列に並ぶと分かっていても、岐州の餃子を求めて地元のみならず全国から餃子ファンが集い、その行列すら名物の一つとなっています。

並んでいる途中で店員さんが餃子のオーダーを取ってくれるのですが、入店してからの追加オーダーはほぼできないので、お腹に余裕があれば上限の一人3皿を注文するのをおすすめします。少なめに頼むとおそらく後悔します。

店内に入り、餃子がまだ焼けていないようであれば岐州特製の炙りチャーシューを注文しましょう。

トロットロで香ばしい香りもするチャーシューがめちゃくちゃ旨い。ビールとの相性も抜群なので餃子が来る前にビールを飲み過ぎないように注意しましょう。

餃子がお皿に盛られて運ばれてくると、その形のかわいらしさに目が釘付けになるでしょう。小ぶりでぷっくりとしていて、真ん中を木の葉の様に細かく閉じる独特な包み方をしています。かわいらしい見た目とは裏腹に、皮の中には熱々の肉汁が隠れているので気を付けましょう。

熱いからと言ってこの肉汁を逃してしまっては台無しになります。上質な赤身肉にラードやスープを練り込んで生まれた絶品の肉汁です。

二皿目からは餃子の味変を楽しむのもお勧めです。例えば箸休めとして添えられている紅生姜と餃子を一緒に食べてみると、酸味がいいアクセントに。また柚子が入った酢醤油にラー油や辛味噌を溶いて食べるのも岐州スタイルです。

ラー油も自家製で香辛料がたっぷり使われていて刺激的な味に変わります。ビールやご飯が欲しくなると思いますよ。

岐州では、通販はもちろんのこと持ち帰り餃子の販売もしていないので、この餃子が食べられるのは店内だけ。行列に並んでもわざわざ食べに行く価値ありです!

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たっぷりのニラとごまを入れたタレに浸して食す。お酒泥棒な餃子「ぎょうざ 娘娘」(福岡県久留米市)

福岡県には八幡生まれの「鉄なべ餃子」や博多の屋台で人気の「ひとくち餃子」、はたまた土鍋で炊き上げる「炊き餃子」など、全国でも有数のご当地餃子が数多く存在しています。その中でも一風変わったご当地餃子が食べられるのが久留米にある「ぎょうざ 娘娘(にゃんにゃん)」です。

娘娘は久留米駅前の賑やかな商店街から路地を少し入ったところにある創業60年の超老舗。小ぢんまりとしたアットホームな雰囲気のお店ですが、いつも地元の常連さんで賑わっています。引き戸をガラガラっと開けて店内に入るとまず驚くのがお店中に広がるニラの香り。

娘娘では餃子のタレに大量のニラとゴマを入れるのが特徴で、そのニラの香りがお店中に漂っています。ニラ好きにはたまらない空間です。

小さな一口サイズの餃子が20個で一人前。焼餃子と水餃子から選べます。非常に小さな餃子なのですが、毎日皮から手作りで作っています。1日寝かした餃子の皮を一枚一枚麺棒で伸ばし、手作業で包んでいきます。この包み方がまた変わっていて左手の手の甲に餃子の皮をのせ右手でギュッと押さえるだけ。あっという間に餃子が包まれていきます。

手作りの皮はモチモチとしていて焼き面はサクッとした軽い食感。餡は豚肉とキャベツに加えて玉ねぎを使っていています。玉ねぎは九州の餃子にはよく使われる食材です。餡の味付けにはニンニクを漬け込んだニンニク醤油を使っていて、ミニミニサイズですが旨味も香りもしっかりしたパンチの強い餃子になっています。

餃子単体でも美味しいのですが、娘娘の餃子は前述のニラ入りのタレを使って完全体になります。餃子のヒダの部分でタレに入れたニラとゴマをすくうようにたっぷりと載せて餃子と一緒に一口で頬張ると、ニラの爽やかな香りとゴマの香ばしさが口から鼻に一気に抜けていきます。ビールでも焼酎でもどんなお酒にも合う餃子です。

娘娘スタイルの餃子のタレは久留米以外では博多で一軒見つけたものの、それ以外の地域ではまだ出会ったことがありません。ぜひ、久留米に足を運んで食べてみてください。

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旅のついでに好みのご当地餃子に出会おう

今回は、特徴的なご当地餃子のお店を6店舗紹介させていただきましたが、全国各地にはその土地土地、そしてお店ごとに特徴のある美味しい餃子がたくさんあります。餃子は生活に密着した料理ですので、全国旅をするなかで餃子を通じて歴史や食文化を感じると、その土地のことを深く知るきっかけにもなると思いますので、ぜひお試しください。

皆さんの好みのご当地餃子にもきっと出会えると思いますよ。

ブログ:東京餃子通信
Twitter:@love_gz


編集/はてな編集部

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