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山に泊まろう。ガチ登山なしで楽しむ北アルプスと、日本一高所の温泉を堪能する旅

山に泊まろう。ガチ登山なしで楽しむ北アルプスと、日本一高所の温泉を堪能する旅

突然ですが、山の中に泊まった経験はありますか?

山の中にある山小屋やテントに泊まってみると、日帰りのハイキングや登山とは一味違う体験がまっています。普段の生活ではなかなか見られない美しい山の夕焼けや朝焼け、幻想的な雲海、星空、さらにさまざまな動植物たちとの出会いもあるでしょう。

山の夕暮れ。夕焼けが山肌に反射したアーベントロート


今回はそんな山に泊まる魅力を登山初心者や登山経験がない人でも気軽に体験することができるスポット、「立山室堂」を全力で推してみようと思います。

まずは自己紹介から。ブロガーで編集者のOKPと申します。月1〜2回のペースで妻と2人、ゆるい山登りを楽しんでいます。山に行く際はマイカー移動が多く、日帰り登山を中心にテント泊や山小屋泊も楽しんでいます。

そんな我が家が毎年通っている大好きな場所が、富山県にある北アルプス・立山の「室堂平(立山室堂)」です。「立山」は山の名前であり町の名前にもなっているのですが、ざっくりと説明すると、北アルプスの一部である「立山」と呼ばれるエリアの中に「室堂平」(「室堂」は山岳信仰を由来とする地名で各地にあります)という一帯があるイメージです。


8月の立山。中央付近の平らな場所が室堂平(撮影:はらですぎ)


室堂平は、北アルプスを横切って長野県と富山県を跨いで東西を結ぶ山岳観光ルート「立山黒部アルペンルートの最高地点(標高約2,450m)にあります。北アルプスの立山、剱岳などへの登山拠点でもあり、毎年多くの観光客が訪れる人気の山岳景勝地です。春にはアルペンルート開通のために深く積もった雪を切り開いて作られた「雪の大谷」でも有名です。

短い期間でガラリとその姿を変える室堂平(10月&11月)。中央付近に見えている池が「みくりが池」
筆者が立山を訪れる際は登山を目的にしていることが多いですが、季節によっては山には登らずに室堂平を散策して美しい立山の風景を眺めたり、温泉宿でのんびりと過ごすこともあります。

今回はKINTOマガジンの取材にかこつけて(?)、日本一高所にある温泉宿としても知られる「みくりが池温泉」に泊まり、立山の美しい自然と温泉を満喫してきました。

東京から立山室堂へ 立山黒部アルペンルート

室堂平はマイカーや鉄道で直接行くことはできません。富山県側、長野県側のいずれにしても、立山黒部アルペンルートを使って複数の乗り物を乗り継ぐことになります(一部、富山側に室堂までの直行バスがあります)。立山黒部アルペンルートは冬の間、雪に閉ざされてしまうので、利用できるのは4月中旬から11月下旬までの約7カ月ちょっとの期間。

今回は画像右の長野県側から室堂へ。扇沢までは東京からマイカーで向かいます

今年のゴールデンウィークにも富山県側から立山を訪れたばかりの筆者ですが、今回は長野県大町市にある扇沢駅まで東京からマイカーで移動して、そこからアルペンルートに入りました。


長野県側のアルペンルートスタート地点「扇沢駅」

扇沢駅までは東京の自宅から250kmほどの距離で、運転時間は約3時間半です。扇沢からアルペンルートに入る際は、始発便を目指すことが多いので、東京の自宅を出発するのはほぼ深夜帯になります。

室堂平での過ごし方にもよりますが、早めの時間からアルペンルートに入った方が、一日を有効に使えます。深夜から早朝は道路も空いてますし、高速道路のETC深夜割引対象になるのもうれしいですね。

車でのアクセスの場合、扇沢駅前に無料・有料の駐車場があって、それが埋まると扇沢手前8kmにある臨時駐車場からシャトルバスが運行されます。

連休や行楽シーズンは混み合うので、時間に余裕のあるスケジュールを立てておくと良いでしょう。

富山県側からのアクセスも魅力がいっぱい!

富山県側のアルペンルート起点「立山駅」
雪の大谷(見られるのは6月ごろまで)を走る「立山高原バス」

ちなみに富山県側からアクセスする場合、東京からの運転距離はかなり長くなりますが、室堂までのアルペンルートの乗り継ぎは長野県側からに比べ「立山ケーブルカー」と「立山高原バス」の2つのみなのでシンプルです。

さらに「のどぐろ」や「白えび」をはじめとする富山湾の幸も楽しむことができるので、ロングドライブが平気なら富山県側からの室堂アクセスも個人的にはオススメです。

美味しいお寿司や富山ブラック(富山のご当地ラーメン)を味わえるのも富山側アクセスならではの楽しみ

東京〜富山間の移動ですが、新幹線を利用する方法もあります。深夜バスを利用して長野県側から室堂に入り、帰りは富山側に抜けて(富山グルメを楽しんで)新幹線で東京に帰るプランを楽しんでる方もいるようです。この場合、「立山黒部アルペンルート」の乗り物全てに乗ることができます。

立山黒部アルペンルートで扇沢から室堂を目指す

さて、話を扇沢からのルートへ戻しましょう。本来は「立山黒部アルペンルート」を移動するだけでもちょっとした観光旅行なのですが、今回はあくまで立山が主役なので主な見どころだけ駆け足で紹介。半日かけてじっくりアルペンルートの移動を楽しんでみるのも良いでしょう。

関電トンネル電気バス

黒部ケーブルカー

黒部ケーブルカー

立山トンネルトロリーバス

扇沢駅から室堂駅までは「関電トンネル電気バス」「黒部ケーブルカー」「立山ロープウェイ」「立山トンネルトロリーバス」の4種類の乗り物を乗り継ぐことになります。それぞれの乗車時間や待ち時間もあるので、最短で乗り継いだ場合でも室堂まで1.5〜2時間程度はかかります。

今回は事前に「立山黒部アルペンルートWEBきっぷサイト」を購入しておきました。ウェブから前日まで予約ができて、当日は駅の発券機からQRコードで発券するのみ。「全国キャンペーンWEBきっぷ」の対象期間なら、正規料金よりもお得な割引き価格で購入できます。

まずは「関電トンネル電気バス」に乗って「黒部ダム駅」を目指します。

関電トンネルでは黒部ダムの建設時に難工事の要因になった「破砕帯」なども電気バスの中から見ることができます。この関電トンネルの途中で、長野県から富山県に入ります。


今も大量の水が流れている「破砕帯」を通過。先に見える黄色い標識は長野と富山の県境

「黒部ダム駅」で少し寄り道して、展望台に上がってみました。美しいアーチが特徴の黒部ダムと黒部湖はアルペンルートのハイライトのひとつ。黒部ダム周辺にも見どころがいろいろとあるので、先を急がずに観光を楽しむのもひとつです。


お馴染みの観光放水は6/26〜10/15の間で行われる

ダムの上を歩いて対岸に渡った後は「黒部湖駅」から「黒部平駅」まで、地下トンネルを走る「黒部ケーブルカー」に乗車。「黒部平駅」から「大観峰駅」までは「立山ロープウェイ」での移動となります。

「黒部平駅」から見上げた立山

「大観峰駅」から見下ろした黒部湖

黒部平駅、大観峰駅それぞれで黒部湖や北アルプスの絶景を楽しめます(秋にはロープウェイから見える立山の紅葉も素晴らしい場所です)。

大観峰駅からは現在国内で唯一のトロリーバス(電車のように架線から電力を引いて走るバス)「立山トンネルトロリーバス」で室堂駅を目指します。


4つの乗り物を乗り継いでようやく「室堂駅(室堂ターミナル)」に到着しました。ここは立山登山や観光の拠点になっている、日本最高所(標高2,450m)の駅でもあります。お土産店、レストラン、ホテルなども併設されていて、立山登山を行う際にはターミナル1階の「入山安全相談窓口」で登山届の提出を行います。

室堂平周辺のマップ

室堂平を散策、残雪が美しい立山と雲海

室堂ターミナルから外に出ると眼の前にドーンと立山が飛び込んできます。

6月前半の取材時には、ターミナル前の遊歩道は雪が消えて歩けるようになっていましたが、山にはまだ残雪がたくさんあるのが分かると思います。

実は「立山」という名前の山があるわけではなく、写真正面中央の台形に見える部分にある「雄山、大汝山、富士ノ折立」の三山を総称して「立山」と呼ばれています。

さらに写真では見切れている両脇の山(別山、浄土山)に立山を合わせて「立山三山」と呼んだり、登山者にも人気の「剱岳」や「奥大日岳」などを含む北アルプス北部の一帯は「立山連峰」と呼ばれています。

そんな立山を代表する山が台形の一番右側にある「雄山(おやま)」。

雄山

標高は3,015mで、夏山シーズンなら室堂ターミナルから2時間半程度で登頂できる立山の主峰です。初めて立山登山に挑戦する人の多くが、この雄山を目指します。

雪のある時期の立山登山は誰にでもオススメできるわけではないので、今回は登山をしなくても楽しめる室堂平周辺を中心に紹介します。

この記事が公開される頃は夏山シーズンに入っているはずですが、それでも登山道の一部にはまだ雪が残っていると思うので、常に最新の情報を調べて登山の計画を立てましょう。

晴れていれば富山市や富山湾まで見える方角に雲海が出ていました。標高約2,450mの室堂平では晴れていても、この雲の下ではまた違った天気が広がっていると思うと面白いですね。このような雲海は立山に来るとかなりの確率で見られる現象でもあります。

室堂ターミナルから徒歩5分程度の「みくりが池」にやってきました。かつての立山の火山活動で生まれた美しい火山湖です。アルペンルートの開通直後は大半が氷と雪に覆われていますが、雪解けが進むと美しい水面が徐々に姿を現します。風がなければ湖面に立山が鏡写しになり、幻想的な風景を堪能できるでしょう。

みくりが池周辺の遊歩道は6月の時点でも大半は雪解けが進み、快適に歩けました。それでも一部は残雪の上を歩くこともあるので、ソールの滑りにくいトレッキングシューズがあると安心です。

遊歩道を進み「エンマ台展望台」にやってきました。正面に見える山は奥大日岳。

「地獄谷」。現在は立ち入り禁止

足元に広がるのは火山性ガスが噴出する「地獄谷」、周囲には硫黄臭(硫化水素臭)が漂っています。この火山活動のおかげで「みくりが池温泉」を始めとする室堂平の宿に天然温泉が湧き出しているのです。

室堂ターミナルに戻って山とは思えない豪華なランチ

朝からの移動と散策で少々お腹が空いたので、一旦室堂ターミナルに戻ってランチにしましょう。

室堂ターミナルと一体になっている「ホテル立山」のティーラウンジ「りんどう」にやってきました。

「りんどう」の向かいにある「レストラン立山」では何度も食事をしたことがありますが、こちらに入るのは今回が初めて。

注文したのは「ローストビーフランチ」。奥は妻が頼んだ「帆立と小海老のビスクスープランチ」(どちらもパンが付いています)。「標高2,450mでこんな豪華なランチが食べられるの!?」と驚いてしまう本格的なお料理が出てきました。ローストビーフの味も抜群です。

デザートは「黒部ダムシフォンセット」。富山県の伝統工芸品、高岡銅器をつくる「織田幸銅器」製の純銅製カップで味わう水出しアイスコーヒーと合わせて楽しみました。生クリームを黒部ダムの放水に見立てた大きなシフォンケーキは、「レストラン立山」でも注文できます。

ちなみに向かいの「レストラン立山」では富山名物の白えびをたっぷり使った「白海老唐揚げ丼」や、「ローストビーフ重」が人気メニュー。どちらもとてもおいしいです!

日本一高所の宿「みくりが池温泉」へ

再びみくりが池方面へ歩いて、この日泊まるみくりが池温泉にやってきました。

室堂平には先ほどの「ホテル立山」を始め、いくつかの宿泊施設がありますが、観光地のホテルや旅館というよりも山小屋的な雰囲気の宿が多く、山での宿泊を体験するにはもってこいの環境です。

中でもこのみくりが池温泉は室堂ターミナルからも徒歩15分程度と近く、名前の通り目の前にはみくりが池があって室堂平散策の拠点にはピッタリ。筆者もこれまで2回程宿泊してますが、夫婦共に気に入っている宿泊施設です。

みくりが池温泉のテラスからみくりが池はもちろん、地獄谷や大日岳方面もよく見え、晴れていれば西の空に沈む日没や夕焼けの展望も抜群です。

みくりが池温泉では宿泊者以外も利用できるカフェ、富山県の幸も食べられるレストランが併設されているほか、日帰り入浴もできます。

入口周辺にスキーラックが見えますが、積雪期の室堂平では雪山登山の他に立山でのバックカントリースキー/スノーボード目当てのお客さんの姿もよく目にします。

フロント前にはお土産の他、ストックや軽アイゼン、レインウェア等のアウトドア用品も売られているので、もし装備に不安を感じたら現地で買い足すこともできます。

こちらは、下駄箱と濡れた装備を干せる乾燥室。チェックアウト後に荷物を預かってもらうことも可能です(場所は使わせてもらえますが、荷物は自己管理となります)。

客室は個室の他に、4〜8人で泊まる相部屋があります。相部屋といっても複数人が並んで雑魚寝する訳でなく、1人分のスペースが区切られたベッドで眠れます。

各スペースには読書灯やコンセントが設置され、カーテンでプライベート空間を区切れるので、山小屋泊の入門としてもストレスなく利用できると思います。

筆者が利用したのは4人部屋の「デラックス相部屋」。ご覧のように1人分のスペースがとても広いのが特徴。今回は妻と2人でこの部屋を貸し切り状態だったので、結果的にはほぼ個室のような状況でした。

ただし個室とは違い部屋に鍵は掛けられないので、荷物や貴重品の管理は利用者がしっかり行う必要があります。

また、ホテルや旅館のようにタオルや歯ブラシ、浴衣などのアメニティは提供されないので(レンタルや有料での提供はあります)、公式ホームページで事前に確認をして必要に応じて準備しておきましょう。

日本一の高さで味わう温泉と夕食、星空で癒される

みくりが池温泉といえば、日本で最も高所にある天然温泉(標高2,410m)。地獄谷に源泉を持つ掛け流しの薄い乳白色の温泉には、清掃時間を除いて一日中入湯できます。

温泉は展望風呂になっていて、窓からは源泉がある地獄谷が見えます。

宿泊者はチェックアウト日の16時まで温泉を利用できるので、チェックアウト後に立山登山をして、下山後に温泉で汗を流してから帰宅することもできます。

みくりが池温泉はそこまで規模の大きな宿ではないので、他の宿泊客と入浴時にバッティングすることが少なく、今回も貸し切り風呂状態でした。宿がコンパクトにまとまっていて、客室、食堂(レストラン)、温泉、トイレ、洗面所等の移動もスムーズで、とにかく居心地の良い宿です。

そして、みくりが池温泉の宿泊で毎回楽しみにしているのがお食事。夕飯と朝食は1階のレストランスペースにて。こんなご時世でもあるので、ソロ利用、グループ利用それぞれにアクリル板で区切られたスペースが準備されています。

ここの食事はもう間違いなく、山小屋というより温泉旅館のレベルです。この日も富山名物であるホタルイカの酢味噌和えを始め、お刺身、牛の陶板焼き、ブリ大根、菜の花のからし和え、豆腐と春野菜の蒸しものと盛りだくさんの内容。

いくらアルペンルートが通じてるとはいえ、標高2,500mクラスの山の宿でこれだけのお料理が食べられるなんてなかなかありません。

今回の筆者のように長野県側からアルペンルートに入った場合、せっかく富山県に来ているのに富山の名産を口にしないまま帰ってしまうこともあります。みくりが池温泉では、しっかり富山に来た気分も味わえるので、毎回ここでの食事に大満足です。

生ビールにクラフトビール、地元産の日本酒やワインもそろっているので、お酒の好きな人も十分に満足できることでしょう。追加で白えびやホタルイカ、げんげといった富山名物を注文できますが、いつもメインのお料理だけで満腹になってしまいます。

このレストランは夜になると談話室として開放されていて、暖かいお茶をいつでも飲めるのもうれしいところ。

階段の踊り場には山小屋ではお馴染みの、山に関連する漫画や写真集などの書籍が並びます。

そして日が落ちると、山中泊の醍醐味のひとつである幻想的な景色が空一面に広がります。

11月のみくりが池温泉に泊まったときの星空

残念ながら今回は、昼前から天候が崩れてしまったのですが、夜まで晴れていれば宿のテラスから山に沈む夕日を眺めたり、夜には満点の星を心ゆくまで楽しめます。

外で星空を見て体が冷えたら、レストランに戻って暖かいお茶で体を温めつつ、同行者と談笑したり漫画を読んで過ごすのはとても贅沢な時間です。

おいしいコーヒーとライチョウを愛でる

翌日も室堂平散策を楽しみたかったのですが、朝からあいにくのお天気で外に出てみると辺りは真っ白。山も見えなければ宿の目の前にあるみくりが池すら見えません……。

このような天気で焦って出かけても仕方ないので、朝食(こちらもボリュームたっぷり)を食べた後もうしばらく宿で過ごすことにします。「喫茶みくり」で宿泊者限定のモーニングコーヒーでも飲みながら、この日の計画をゆっくり妻と相談。

喫茶みくりの店内と注文が入ってからサイフォンで淹れてくれるコーヒー

喫茶みくりは、朝8時半から宿泊客だけでなく一般客も利用できます。

室堂平にはテント泊できる「雷鳥沢キャンプ場」があり、筆者もそちらを利用した際の朝食や、登山帰りに立ち寄ることもあります。

お好みで3種類のピザソースを掛ける「エンマ様のホットピザ」、厚切りのあんバタートースト&ジャムトースト、どれも美味しくてお気に入り

さて、天気が悪いと山の中ではなかなかやることがないのですが、曇っている程度ならばライチョウに出会えるチャンスかも。荷物をみくりが池温泉に預けて、散策に出かけてみたところ……、

オスのライチョウの鳴き声は「グェ〜」とまるでカエルのよう!?

みくりが池周辺のハイマツ帯(高山に生える背の低い松が群生する場所)に、氷河期の生き残りと言われる特別天然記念物「ライチョウ」のオスがいました。

鳩より少しだけ大きなサイズで、1年の間に羽の色が3回も生え変わる珍しい鳥です。

主に日本アルプスの高山帯に暮らす鳥なので、登山者でもないとなかなか遭遇する機会がないのですが、立山周辺は特に生息数が多く、室堂平では繁殖期に入る春から夏にかけて、かなり高い確率でライチョウに出会えます。

目の上の赤い肉冠が目立っているのがオスの特徴で(メスにもありますが目立ちません)、繁殖期には写真のように見晴らしの良い場所に登って、縄張りを見張っている姿を観察できます。

オスのライチョウ
オスと羽の色が異なるメスのライチョウ。この時期はオスとメスがつがいになった様子もよく見られる

春はオスの遭遇率が高いですが、つがいのメスはハイマツ帯で羽が保護色になっているだけで案外オスの近くに居たりします。周囲もよく探してみましょう。ただし相手は野生動物なので、タイミング次第では出会えないこともあるでしょう。そんなときは室堂ターミナルの隣にある「立山自然保護センター」を訪れてみると、最新のライチョウ目撃情報を見たり、ライチョウ探しのアドバイスをもらえるかも。

室堂平や弥陀ヶ原を自然解説員と共に歩く無料の自然観察ツアーも企画されているので、参加してみるのも面白そうですね。今回訪れた6月前半はまだ残雪が多かったですが、立山では夏にかけてさまざまな高山植物が見頃となります。

ちなみにライチョウの観察、撮影の際は、ある程度の距離を取るために双眼鏡や望遠レンズの使用がオススメ。スマートフォンでライチョウを撮影しようとして不用意に近づいてしまう人を見かけますが、環境省が監修する「ライチョウ観察ルールハンドブック」によると基本的に5m以上の距離を取っての観察、撮影を推奨しているそうです。

ライチョウはあまり人を怖がらない鳥ですが、向こうから近づいてきた場合も意図的に人に近づいてる訳ではないので、急に動いて驚かせたりしないようにしましょう。

室堂散策の装備や立山登山についての注意

今回は残雪期でもあり、さらに途中でお天気が崩れてしまったので室堂平周辺の散策のみでしたが、立山を訪れる際の装備や服装について簡単に紹介しておきます。

基本的には動きやすい格好ならOKですが、雪の上を歩く場合は靴の素材によってはすぐに濡れてしまうので、ゴアテックスなどの防水素材が使われたスニーカーやトレッキングシューズを履いていると安心です。

また室堂平は北アルプスの山の中なので天候も変わりやすく、夏でも冷え込むことがあります。今回の滞在中も朝夕は氷点下近くまで冷え込み、日中には雨だけでなく霰(あられ)が降ることもありました。

雨にしては粒が痛いなと思ったら霰だった

ウインドブレーカーやフリース、薄手のダウンジャケットなどの防寒具、折りたたみ傘やレインウェアなどの雨具も忘れずに用意しておきましょう。

また山間部は紫外線が強く、残雪期は雪の照り返しもあるので、サングラスや日焼け止めも必須アイテム。これらの荷物を、両手が自由になるバックパックにまとめておくと良いでしょう。

最後に今回は紹介できなかった立山登山について少しだけ。残雪期は場所によってアイゼンやピッケルといった雪山装備が必要になり、特に5月までは細かな入山ルールも設けられています。天候やルート上の雪の状態による状況判断も必要になるので、雪山経験がなかったり自分で判断ができないうちは避けた方が良いでしょう。

梅雨が明ける7月からは本格的な夏山シーズンが始まるので、それからでも十分に楽しめます。人気の雄山の他に浄土山や龍王岳なども比較的登りやすく、立山全体を見渡す絶景を楽しめる筆者オススメの山です。

秋の立山登山。龍王岳から雄山方面を見る。中央奥の尖った山は剱岳

もちろん登山の際には室堂平を散策をするような軽装でなく、必要な装備を準備して、登山計画を忘れずに提出して臨んでください。

今回は山中泊体験の入門として、山に登らずに山に泊まれる室堂平を紹介しましたが、この他にも上高地や尾瀬を始め、軽いハイキングと合わせて充実した山の宿泊を楽しめる場所はいろいろとあります。

上高地の徳沢
尾瀬ヶ原の見晴

室堂平ほどに宿泊環境が充実している場所はかなり特殊ですが、まずはハードルの低い場所からでも徐々に山に泊まる楽しみを知ってもらえたら何よりです。

今回の記事で少しでも興味を持って貰えたら、ぜひさまざまな山中泊を体験してみてください。


ブログ:I AM A DOG
Twitter:@iamadog_okp

編集/はてな編集部

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