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腰痛、肩凝り、眼精疲労…「運転の疲れ」を癒やすストレッチを覚えよう!

腰痛、肩凝り、眼精疲労…「運転の疲れ」を癒やすストレッチを覚えよう!

どんなにドライブが好きな人でも、長距離・長時間の運転は疲れますよね。運転に慣れない方なら、なおさらではないでしょうか。疲れたまま運転を続けると、注意力が散漫になって危険を招いてしまうことも……。

そこで、運転で疲れた身体をほぐし、リラックスしながら運転ができるようにするためのストレッチを、カーライフアドバイザーでボディトレーナーでもある鈴木珠美さんに教えてもらいました。
https://www.beecar.jp/
https://www.youtube.com/watch?v=avOfN3tpU40

そもそも、なぜ運転すると疲れるの?

クルマを運転していると、知らずしらずのうちに身体が疲れ、同時にバキバキに凝り固まってきてしまいます。ずっと座っているだけで、特に激しい運動をしているわけでもないのに、どうして疲れてしまうのでしょうか?

「運転中に感じる疲れの原因は、狭い車内で身体を動かすことができないために、筋肉が固まってしまうことにあります。デスクワークも同じですね。その結果、呼吸が浅くなって血の巡りが悪くなり、首や肩が凝ってしまいます。座っている姿勢はそもそも腰に負荷がかかるので、どうしても腰が痛くなりますし、下半身の筋肉も動かせないのでダルくなってしまうんです」(鈴木さん、以下同)

運転好きの1人として、肩こりや下半身のダルさはよく感じるところです。身体が凝ると、呼吸がしづらくなる感じもしますよね。

「はい。そもそも人は何かに集中すると呼吸が浅くなってしまうのですが、さらに座ったままの悪い姿勢が続くと、肋骨や横隔膜周辺の筋肉が固まってしまうので、より呼吸がしづらくなってしまうんです。呼吸が浅くなると血の巡りが悪くなって、十分に酸素が身体を巡らなくなり、疲れやすくなるだけでなく、集中力が落ちる原因にもなります」

運転中の肩こりは、ハンドルを持っていることも関係していますか?

「もちろんです。ハンドルを握る姿勢は両肩が前に出ますから、通常は背骨の近くにある肩甲骨(けんこうこつ)が左右に離れてしまい猫背になるので、肩こりが起こりやすいのです。また、運転中は体を前傾させるので、首が前に出てストレートネックにもなりがち。これも首や肩の疲労の原因となります」

肩が前に出るとか猫背になるとか、聞いていて思わず「そうそう!」とうなずいてしまいます。運転中は目も疲れますよね……。

「遠くの景色を見たり、近くのメーターを見たり、運転中はピントを合わせる場所が頻繁に変わりますから、眼精疲労も起きます。さらに雨の日や暗い夜道などでは、瞬きの回数が減るので、ドライアイも起こりがちです。運転中は目・肩・腰、どれも酷使されますね」

まずは「呼吸」を改善するストレッチから

目・肩・腰……と身体の各部に負担がかかりがちな運転。これらの疲労を軽減させるには、どんなストレッチが有効なのでしょうか?

(1)肋骨まわりのストレッチ

「まずは、浅くなった呼吸を改善するストレッチからやってみましょう。胸の下にある肋骨を手のひらで包み込むように置きます。その状態で鼻から息を吸うと、肋骨が左右に広がって膨らんでいくのがわかるでしょう。息を吸いきったら、次は口から息を吐いて、広がった肋骨を中央に寄せていくイメージで収縮させてください。これを3回ほど繰り返します」

(2) 肋骨まわりのストレッチ2

「続いて片方ずつ肋骨の前後を手で押さえ、息を吸い、肋骨が前後に膨らんでいくようなイメージで息を吸って膨らませます。いっぱいになったら、口から息を吐きながら肋骨を縮めましょう。これも、左右3回ずつ繰り返してください。疲れの原因はほとんど血の巡りの悪化だといえますが、肋骨を意識した呼吸をすることで、深呼吸がしやすくなります」

(3)わき腹のストレッチ

「もうひとつ、呼吸を改善するストレッチをしてみましょう。椅子の座面に片手を置いて、もう片方の腕を、息を吸いながら上にあげ、息を吐きながら体を真横に倒します。わき腹の広がりを感じながら3呼吸、繰り返しましょう。息を吸いながら上体を起こし、息を吐きながら上げた腕を下ろします。反対側も同様に行います」

固くなった首や肩をほぐすストレッチ

浅くなっていた呼吸が改善されただけでも、ずいぶんスッキリした気がします。次は固くなった身体をほぐすストレッチですね?

(4)大胸筋のストレッチ

「運転姿勢は大胸筋も硬くなりがちです。大胸筋をほぐすには、胸の前の筋肉である大胸筋を、手でぐっとつかみます。もう片方の手は、肩先に置いてください。そして、そのまま肩先に置いた方の腕をぐるぐると大きく回します。なるべく肘は遠く、円を描くように回すのがポイントです。5~6回、回したら反対回しも5~6回。続いて反対側も同様に行います」

(5)首のストレッチ

「次は首です。片方の手を反対側の頭の側頭部に置いて、息を吸いながら背筋を伸ばし、息を吐きながら首を真横に倒し首の横側を伸ばします。さらに伸びを強めたい方はもう片方の腕を体から離すと伸びが強まります。3呼吸キープしたら、元の位置に戻ります」

(6)首のストレッチ2

「次は手の位置を耳の後ろに置き、息を吸って背筋を伸ばし、息を吐きながら頭を斜め前に倒します。背中から首すじにかけて伸ばしましょう。さらに伸びを強めたい方は、反対側の腕を後ろ側に持っていくと伸びが強くなります。3呼吸行ったら、反対側も同じように行います。最後は首まわし。胸の前で両手をクロスして、指先は鎖骨に置き、息を吸いながら首を前から後ろへ回し(後ろは浅めに回す)、息を吐きながら、後ろから前へ戻します。右回しを2回、左回しを2回、行いましょう」

首・肩まわりのストレッチといえば、「肩甲骨」もよく聞きますよね。肩甲骨のストレッチはいかがでしょうか?

(7)肩甲骨のストレッチ

「肩甲骨は、背骨に対して羽が生えているような位置関係にあるのですが、鎖骨と筋肉でしかつながっていません。そのためまわりの筋肉が固まると、肩甲骨の位置がずれて肩こりの原因になります。ストレッチは、息を吸いながら両腕を真っすぐ上に上げて手のひらは内側に」

(8)肩甲骨のストレッチ2

「続いて息を吐きながら手のひらを外側に向けて、両肘を背骨に付けるようなイメージで腕を降ろす。Wのポーズのようになります。これを、呼吸とともに5~6回繰り返しましょう」

ここまでが首・肩まわりのストレッチ。休憩のためにクルマから降りたら、まずはこれらのストレッチを試してみましょう。時間がないときは、大きく腕を回しながら深呼吸をするだけでも、リフレッシュになるそうです。とにかく、運転中は呼吸が浅くなりやすいので、「休憩時は大きく息を吸うことが大事」と鈴木さんは言います。

腰まわりの疲れもしっかり取ろう

座った姿勢が続く運転では、足腰にも疲労がたまります。身体を動かせない分、特に腰まわりのダルさは、デスクワーク以上かもしれません。

(9)腰まわりのストレッチ

「腰まわりにはたくさんの筋肉がつながっています。まずは太ももの裏側から伸ばします。椅子に浅く腰かけて、片方の足を真っすぐ延ばし、つま先は上に向け、かかとは地面に付けてください。なるべく背骨を真っすぐにした状態で、股関節から上半身を前に倒します。すると、太ももの裏側が伸びていくのが感じられるでしょう。3呼吸ほどキープして、反対側も同じように行います」

(10)腰まわりのストレッチ2

「続いて、片方の足首を太ももの上へ。再び背骨を真っすぐにして、背筋を伸ばした状態から股関節から上半身を前に倒します。そうすると、今度はお尻まわりの筋肉が伸びているのがわかるでしょう。これは、運転姿勢によって固くなった、骨盤まわりの筋肉を伸ばすストレッチです。反対側も同様に行います」

(11)腰まわりのストレッチ3

「次は浅く座り直して背骨を真っすぐに。そのまま上半身を前に倒して、腰を伸ばします。続いて、両手を右側に置いて腰の左側を伸ばします。最後に両手を左側に置き、腰の右側を伸ばします。それぞれ15~20秒ほどキープしましょう」

下半身の「ダルさ」もストレッチでスッキリ!

ここまでが腰まわりのストレッチになるわけですね。やってみると、たしかに腰やお尻が伸びます。ここまでのストレッチで、ずいぶん身体がスッキリしました。

「そうでしょう? でも、まだまだやってほしいことはあります。今度は腰のだるさに加えて、下半身のダルさもリフレッシュできるストレッチをやってみましょう」

(12)下半身のダルさを取るストレッチ

腰を落として、左右の手は太ももの上に。その状態で身体をねじる

「両足を開いて四股を踏むような体勢になり、つま先は外側に、手は太ももの上に置きます。息を吸い、息を吐きながら体をねじる。ねじった側の反対側の手で太ももを押すようにすると、ねじりが深まります。この体勢で3呼吸キープ。反対側も同様に行いましょう」

(13)下半身のダルさを取るストレッチ2

「このように立った状態から片手で足の甲をつかみ、膝を後ろに引くようにすると、太ももの前側が伸びます。運転姿勢で滞っていた血の巡りがよくなるので脚のむくみ対策にもオススメです」

眼精疲労をリフレッシュするセルフマッサージもやろう!

肩・腰ときたら、最後は目。長く運転していると、目がしょぼしょぼしてきたりピントが合いづらくなってきたり、ひどいときは頭痛の原因にも……。

「目の疲れを緩和するセルフマッサージをお教えしましょう。左右の耳の後ろを触ると、骨がありますよね。これは乳様突起というのですが、左右の乳様突起を結んだラインが、首と頭の境目になります。この境目を親指でほぐすことで、眼精疲労を和らげることができます」

(14)目の疲れを取るマッサージ

「硬くなっている部分に親指の腹を押し当ててほぐします。中央あたりには後頭下筋群という筋肉があり、親指の腹を押し当てながら目を左右に動かすと、目と後頭下筋群が連動していることがわかります。硬い箇所はしばらく親指を当てたまま留まり、ゆるむまで待ちます。親指の腹をずらして少しずつほぐしていきましょう。ほぐれると、目の輝きも戻ってきますよ」

より快適なドライブを楽しむための注意点とは?

運転によって身体が疲れる要因は、同じ姿勢が続くことで呼吸が浅くなり、同時に血の巡りが悪くなること。だから、筋肉を動かすストレッチが大事なのですね。

「はい。だから、休憩を取るときは、クルマを停めるだけでなくて、必ず車外に出てください。ストレッチをする時間や場所がないときは、少し歩いたり、車外でつま先立ちになって踵を降ろしたりといった動作をするだけでも、血の巡りはよくなります。1~1時間半に一度は、クルマを停めて身体をリフレッシュさせてほしいですね。出発前にストレッチをするのも、おすすめです。たとえば早朝出発のときなら、こわばった体をゆるめることができるので、運転姿勢がラクにとれるようになるでしょう」

ちなみに、“疲れにくい運転の仕方”というのもあるのでしょうか?

「ドライビングポジション(運転姿勢)は、やはり大事だと言えますね。とはいえ、特殊なことはなく、ブレーキペダルを踏んだとき足が伸び切らず余裕があるようにする、ハンドルを切ったときに背もたれから背中が浮かないようにする、腰とシートのすきまをなるべく作らないようにするなど、教習所で教わる運転の基本姿勢でOKです」

「正しいポジションに合わせることは、安全だけでなく疲労予防・低減にもつながります。ちなみに腰痛のある方は、シートの背もたれを起こし気味にするといいでしょう」

適切なドライビングポジションは、疲労のためにもいいんですね。まずは、ドライビングポジションを見直して、その上で頻繁な休憩とストレッチを意識してみてはいかがでしょうか? 運転での疲労は抑えられれば、さらにドライブが楽しくなること間違いなしですね!

取材・文:先川知香 写真:木谷宗義(type-e) 編集:木谷宗義(type-e)+ノオト

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