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身体が不自由な人たちの乗降をサポートする「ウェルキャブ」と「ハートフルカスタマイズパーツ」

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<この記事は7分で読めます。>

健常者ならば難なくこなせる、クルマの乗り降り。しかし、高齢で足腰の力が弱くなった人や車いすを使用する人が行うには、大変な労力を必要とします。周囲の人たちにかける負担から、クルマの利用を諦めてしまう人も少なくありません。

そんな身体の不自由な人たちをサポートする装備を施したクルマやカスタマイズパーツが、自動車メーカーや専門の業者により開発・販売されています。

今回、トヨタの扱う福祉車両「ウェルキャブ」とカスタマイズパーツ「ハートフルカスタマイズパーツ」について、トヨタ自動車とトヨタカスタマイジング&ディベロップメントのスタッフに話を伺いました

すべての人に快適な移動を提供するために生まれた「ウェルキャブ」

身体の不自由な人や介助する人を支援する福祉車両。トヨタは自社で扱う福祉車両を「ウェルキャブ」と呼称しています。国内自動車メーカー中、最多の車種と仕様を用意。抱えている不自由、介助する人の求める機能、クルマの保管場所といったさまざまな要求を踏まえ、適切なウェルキャブを提案してくれます。

「“すべての方に快適な移動の自由を提供すること”を目指し、いち早くウェルキャブの開発・普及に意欲的に取り組んできました。本格的な福祉社会・高齢社会を迎え、自動車メーカーの果たす役割はますます大きくなっています。より運転しやすく、お求めやすい車両を、特別なクルマとしてではなく、より多くの方へご利用いただけるよう、今後も積極的に取り組んでまいります」(トヨタ自動車ウェルキャブ担当)

ウェルキャブのベースとなる車両は、一般的にイメージされる商用車だけではなく、コンパクトカーやミニバン、セダンとさまざまな車種から選ぶことができ、求める機能を備えた仕様で提供されます。ここでは機能別に一例を紹介します。

助手席回転シート+手動車いす用収納装置(電動式)
車種:アクア

乗り降りがしやすいよう、回転機能を有するシートを助手席に施したアクア。シートには折りたたみ式のフットレストと可倒式のアームレストが付属します。荷室には楽に車いすを収納できるよう電動式の収納装置が装備されており、重さ30キロまでの車いすを吊り上げられます。

助手席ターンチルトシート+車いす収納装置(電動スライド式)
車種:ヤリス

先のアクアとは異なり、助手席が回転&チルトする機能を有します。荷室に施された車いす収納装置は電動スライド式で、固定された車いすを横に倒して収納。重さ35キロまでの車いすを扱うことができます。

サイドリフトアップチルトシート車(装着車)
車種:アルファード、ヴェルファイア、ヴォクシー他

後部座席のシートが回転後、ゆっくりと下降しながら車外にせり出す仕組み。その際、より乗り降りしやすいよう座面と背もたれが少しずつ前傾します。シートには折りたたみ式のフットレストと可倒式のアームレストが付属します。

サイドリフトアップシート車(脱着タイプ)
車種:アルファード、ヴェルファイア

後部座席に専用の車いすを装着。車外にせり出しながら下降したのち、そのまま車いすとして利用できます。シート(車いす)は手押しの手動式と自走できる電動式のどちらも選択可能です。

車いす仕様車
車種:シエンタ

荷室に装備されたスロープを展開することにより、車いすに乗ったままの乗り降りを可能としました。後輪には車高調整機能の付いたエアサスペンションを装着。車いすがのぼりやすいよう、車高を下げてスロープの角度をなだらかにします。

車内に乗った後、固定装置で車いすが動かないようしっかりと固定。そのまま使用できる3点式のシートベルトを備えています。また、このモデルはタイプにより、助手席に回転チルトシートを装備しているので、状況に応じて座るシートを使い分けるタイプを選ぶこともできます。

フレンドマチック取付用専用車(タイプⅢ・タイプⅣ)
車種:プリウス、アクア

車いすを利用するドライバーが、単身(介助のいない状態)で運転席に乗り降りできるよう、各装備が施されています。車いすから運転席へと移動した後、ルーフ上に搭載された「ウェルキャリー」が車いすを吊り上げて収納。車いすを上げ下ろしする際、ボディーを傷つけることがないよう設計されています。

個々の事情や環境に合わせ、カスタマイズを手伝う「ハートフルカスタマイズパーツ」

現在、所有しているクルマに乗降補助機能を追加したい場合は「ハートフルカスタマイズ」で対応します。ウェルキャブの購入後、環境や状況が変わって別の機能を付け加えたい場合や、中古で購入したウェルキャブの装備を新しいものに換えたい場合も同様です。

「トヨタカスタマイジング&ディベロップメントの『ハートフルカスタマイズ』は、高齢の方やお身体の不自由な方も快適にクルマを使用できるように、お客さまのお身体の状態に合わせてカスタマイズします。例えば、もっとラクに乗り降りできるようなシート、ご家族や介護をする方にとって安全で便利な装置の取り付け、お客さまに合わせたカスタマイズを提案しています」(トヨタカスタマイジング&ディベロップメントハートフルプラザスタッフ)

所有するクルマに乗り降りする際、どのような状況に不自由を感じているのかなどを相談。改善するための方法と必要なカスタマイズパーツを提案し、装着を行います。ここでは主なハートフルカスタマイズパーツを機能別に紹介します。
※車両は一部現行型ではないモデルも含まれています。

車いす用電動ウィンチ
車種:シエンタ

運転席と助手席の後ろに装着した電動ウィンチ。目立たないようカバーが施される

ベルト車いすに取り付けた後、ワイヤレスリモコンスイッチを操作して車内へ引き上げる

電動ウィンチは、ウェルキャブ「車いす仕様車(シエンタ用)」の支援用に開発されたパーツです。車いすでスロープを上る際、荷室内に装備された電動ウィンチにより引っ張り上げ、車いすを押す人の負担を軽くします。

車いす収納クレーン
車種:ノア、ヴォクシー、エスクァイア

車いす収納クレーンは、現モデルのノア、ヴォクシー、エスクァイアを使用するウェルキャブの支援用に開発されたパーツです。重さ30キロまでの車いすを吊り上げることが可能で、荷室内への上げ下ろしを助けてくれます。

電動補助ステップ、乗降口ハンドレール
車種:共にハイエース、ノア、ヴォクシー他

電動補助ステップは床の高いミニバン、ワンボックスに安心して乗り降りできるよう開発されました。個人だけでなく福祉施設の送迎車、コミュニティバスといった商用にもニーズの高いパーツです。

他にも車椅子を収納する際、荷室内を明るく照らす「ラゲージLED(シエンタ用)」、傷や汚れを防ぐ「ハートフルマット」といったパーツを扱っています。

ウェルキャブとハートフルカスタマイズの相談先は

本記事を読み、「自分も相談したい」、「家族のために相談したい」と思った人もいるかもしれません。ウェルキャブの相談は、全国の「トヨタウェルキャブステーション」、ならびに「トヨタハートフルプラザ」で受け付けています。両施設共に代表的なウェルキャブの展示を行っており、実際にそれぞれの機能を確かめながら選ぶことができます。

ハートフルカスタマイズの相談は、全国の「トヨタハートフルプラザ」で受け付けています。代表的なパーツが展示され、専任の相談員が常駐しているので安心です。

身体に不自由を抱える人にとって、クルマによる快適な移動は生活の支えとともに、希望や生きがいといった精神的な支えになります。ウェルキャブやハートフルカスタマイズをはじめとした、多くの福祉車両や装備が支援してくれることが周知されていくとうれしいですね。

取材・文:糸井賢一 写真:トヨタ自動車・トヨタカスタマイジング&ディベロップメント 編集:奥村みよ(PASSERBY GRAFFICS)+ノオト

■トヨタウェルキャブ
https://toyota.jp/welcab/
■トヨタカスタマイジング&ディベロップメント ハートフルプラザ
https://www.modellista.co.jp/heartfulplaza/

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