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これ忘れてない? 曖昧になりがちな交通ルールをおさらい

これ忘れてない? 曖昧になりがちな交通ルールをおさらい

クルマの運転に交通ルールは欠かせないものですが、教習所で教わってから時間が経つと、つい忘れてしまいがちです。そこで、標識の見方や運転時の規則など、勘違いしやすい交通ルールをおさらいしましょう。

意外に細かく決められている交通ルール

■運転時の交通ルール

まずは、運転時の交通ルールを思い出しましょう。

はだしでもOK? 運転時の履物についての交通ルール

運転時の履物は、道路交通法で規定されており、バックストラップのないサンダルやヒールのような、運転中に脱げたり、何かに引っかかったりする危険性がある履物は禁止されています。

一方で、はだしや靴下など、靴を履いていない状態への規定は明記されていません。また、各都道府県の公安委員会が定める細則(公安委員会遵守事項)にも、運転時の履物について明確に定めている地域はありますが、はだしへの規定は見られないのが現状です。

しかし、はだしで運転をすることは、とっさにブレーキを強く踏むことができない可能性があるなど、緊急時には危険が伴うこともあるためやめましょう。

赤信号でスマホを操作するのはOK? 「ながら運転」に関する交通ルール

2019年12月に改正された道路交通法により、運転中のスマートフォン(以下、スマホ)や携帯電話の操作といった、いわゆる「ながら運転」が厳罰化されたことをご存じの方も多いと思います。では、赤信号でクルマが完全に停止している場合でも、スマホの操作はNGなのでしょうか。

運転中のスマホ操作については、道路交通法で「クルマが停止しているときを除き、スマホや携帯電話、その他の無線装置を通話のために使用、または画面に表示された画像を注視しないこと」と定められています。

スマホの操作や注視が違反となるのは、クルマが停止しているときを除いた場合で、停車中は対象外です。この、停車中というのは、タイヤの回転が完全に止まっている状態を示すことが一般的で、赤信号ではタイヤを停止させなければならないため、信号待ちはクルマが停止した状態といえるでしょう。

これらの解釈により、クルマが完全に停止した状態でスマホの操作をすることは、交通違反には該当しません。しかし、たとえ赤信号などで停止している場合でも、道路上では何が起こるか分かりません。運転中のスマホ操作などは安全のためにやめましょう。

■シートベルトのルール

続いて、シートベルトについての交通ルールをおさらいします。

後ろの席でシートベルトをするのは高速道路だけでOK?

運転中のシートベルトは、2008年より全席で着用が義務付けられました。シートベルトの着用は後部座席も含め、全席で義務化されているため、一般道路や高速道路など、道路の種類は関係ありません。運転中の車内にシートベルトを着用していない人がいた場合、どの位置に座っていても「座席ベルト装着義務違反」となります。

一方で、運転席や助手席に座っている人がシートベルトをしていなかった場合は、一般道、高速道路ともに違反点数1点が科されるのですが、後部座席については、高速道路においてのみ違反点数1点が科されます。

一般道では口頭注意のみとなっていることで、後席シートベルトの着用義務についての勘違いが生じていると考えられますが、シートベルトは乗員の安全を守る重要な装置です。一般道、高速道路にかかわらず、必ず全席で着用するようにしましょう。

妊婦さんはシートベルトをしなくてもいいの?

シートベルトは道路の種類にかかわらず着用が義務化されていますが、妊娠中など着用に支障をきたす場合は、どのように決められているのでしょうか?

道路交通法施行令では、シートベルトの着用義務の免除について「負傷や障害、または妊娠中などの理由により、シートベルトを装着することが療養上または健康保持上困難な人がクルマを運転するとき」とされています。つまり妊娠中は、シートベルトを装着することで健康上の支障をきたす場合のみ、着用が免除されることになります。

しかし、シートベルトは妊婦本人だけでなく、お腹の赤ちゃんの命も守ってくれる重要な装置。緊急時も着用方法を工夫するなど、可能な限りは装着してください。マタニティ向けのシートベルト補助具なども販売されているので、活用するとよいでしょう。

■チャイルドシートのルール

続いては、子どもをクルマに乗せるときに必要な、チャイルドシートについての交通ルールです。

体が大きければ早くチャイルドシートを卒業してもいい?

法律上6歳未満の子どもをクルマに乗せる場合は、チャイルドシートの使用が義務付けられています。しかし、子どもの成長には個人差があり、6歳までにシートベルトを正しく装着することが可能とされる身長140cmを満たす場合も考えられます。6歳未満で早く体が大きくなってしまった子どもは、チャイルドシートを卒業してもいいのでしょうか?

チャイルドシートの設置義務が免除されるケースについては道路交通法施行令で、「過度な肥満やその他の身体の状態により、適切にチャイルドシートを使用させることができない幼児をクルマに乗せるとき」とされています。

成長などの理由により、チャイルドシートやジュニアシートが体格に合わなくなった場合、6歳未満でも装着は免除されますが、安全のためにシートベルトを装着するようにしましょう。

逆に6歳を過ぎても体が小さく、シートベルトの装着が困難な場合は、法律で定められていなくてもチャイルドシートやジュニアシートを使用してください。

タクシーはチャイルドシートがなくてもOK?

バスやタクシーに幼児を乗せる際のチャイルドシートの使用義務ついては、道路交通法施行令で「お客さんを乗せて運ぶ業務をおこなうクルマの運転者が、その業務のお客さんとして幼児を乗せるとき」と、免除されるケースとして明記されているため、装着義務はありません。

まだまだある、曖昧になりやすい交通ルール

■停止線のルール

停止線についての交通ルールも、曖昧になっていませんか? 改めて確認してみましょう。

停止線がある場合、どこに止まればいいの?

停止線での停止位置は、道路交通法で、「クルマは、交通整理が行われていない交差点やその手前で、一時停止の道路標識などが表示されているときは、停止線の直前で一時停止をしなければならない。また、一時停止中は交差する道路を通るクルマの進行を妨害してはならない」とされており、停止線の直前で止まることが義務づけられています。

厳密にいうと停止線直前の線上に“車体がかからない位置”で停車するのが正解です。

■信号機のない横断歩道での交通ルール

信号機のない横断歩道では、ルールを理解していないと、人身事故につながる危険性が高まるため、しっかりと確認しておきましょう。

横断歩道に人がいる場合、必ず止まらなくてはいけないの?

クルマを運転する際の横断歩道について、道路交通法では、「クルマで横断歩道や自転車横断帯に近付く場合、その横断歩道を通過する際に進路の前を横断しようとする歩行者や自転車がいないことが明らかな場合以外は、その横断歩道の直前で停止することができる速度で進まなければならない。この場合、進路の前方を横断している人や横断しようとする歩行者がいるときは、その横断歩道の直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない」と明記されています。

前方の横断歩道を渡ろうとしている人がいる場合は、その直前で一時停止し、歩行者の横断を妨げないようにする義務があります。

■「駐車」と「停車」の違いは?

交通ルールには、似たような意味の言葉も多く登場します。「駐車」と「停車」もその一つ。いったい、どう違うのでしょうか?

言葉が違うだけで意味は同じ?

まず、駐車について。道路交通法では、「駐車はクルマが客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障などの理由により長時間停止することやクルマが停止し、そのクルマを運転する人がクルマを離れてすぐに運転することができない状態にあることをいう」と定義されています。

一方で、停車は「クルマが停止することで、駐車以外のものをいう」とされ、運転者がすぐに運転できる状態や、人の乗り降り、5分以内の荷物の積み降ろしなどが当てはまります。

「駐車禁止」と「駐停車禁止」の違いは?

「駐車禁止」は駐車をすることは禁止されていますが、停車をすることは可能な場所となっています。とはいっても、駐車や停車の時間は厳密に定められている訳ではないため、警察などに注意をされた際は、すぐに移動できることが原則です。

また、「駐停車禁止」は駐車と停車、どちらも禁止されている場所のため、緊急の場合以外は、短時間でもその場所にクルマを止めることはできません。

■Uターンのルール

Uターン(転回)をする際のルールも、転回禁止と明記されている場所以外は曖昧になりがちなため、改めて確認しておきましょう。

右折信号でのUターンは違反になる?

歩行者や他のクルマの通行を妨害するおそれがない場合は、右折や左折、横断や回転、後退をすることが可能で、対向車が停車状態となる右折信号でのUターンも、標識等で禁止されている場合を除き、違反にはなりません。

対向車がいなければ、どこでもUターンしていいの?

Uターンは、道路交通法で「クルマは、道路標識等で横断、転回、後退が禁止されている道路では、禁止された行為をしてはならない」と定められています。そのため対向車がいなくても、標識等で禁止されている場所でUターンを行うことはできません。

■スクールゾーンのルール

スクールゾーンについても、なんとなく学校があるのかな? 程度の認識しかない人が多いのではないでしょうか。

スクールゾーンってどんな意味?

スクールゾーンは、子どもを交通事故から守るために設定された、交通安全対策の重点地域です。1972年に行われた春の全国交通安全運動から運用が開始され、小学校を中心とした半径500mほどの通学路が対象となります。

また、スクールゾーンは小学校ごとに設定されていることがほとんどですが、自治体や市区町村によっては小学校の通学路だけでなく、幼稚園や保育園の通園路なども対象となっています。

スクールゾーンで気をつけること

スクールゾーンは、交通標識や路面標示、電柱の巻付表示などでわかりやすく示されており、地域の道路事情を考慮しながら、一方通行や速度規制、登下校の時間帯のみ通行禁止など、さまざまな交通規制を組み合わせて適応されています。その規制内容も自治体によって違うため、ゾーン内の道路標識には十分注意して通るようにしてください。

ちなみに、スクールゾーンや通学路そのものを示す道路交通法上の道路標識は存在しません。警戒標識と「スクールゾーン」または「通学路」と書かれた補助標識をセットで表示すことで、該当道路がスクールゾーンや通学路となります。

■「ゾーン30」のルール

住宅街などで見かけることが多い「ゾーン30」という標識は、いったいどのような意味があるのでしょうか。

なぜ「ゾーン」ができたの?

ゾーンは、生活道路における歩行者や自転車の安全を確保することを目的とした交通安全対策の一つです。幹線道路などに囲まれた居住地域全体に交通規制や安全対策をおこなうことで、その地域に住む人がクルマにおびやかされることなく安心して生活できることを目的として作られました。

「ゾーン30」は時速30㎞以下で走る?

ゾーン30では、時速30㎞の速度規制が行われているため、時速30㎞以下で走行する必要があります。さらに、「路側帯を拡げて車道幅を狭くし、中央線をなくす」「道路上にかまぼこ状の段差をつける」「路面表示やシンボルマーク入り看板の設置」などの対策がとられているため、必然的に減速される道路環境となっている点も特徴です。

■あおり運転はどこから?

新たに制定されたことにより、「教習所では習っていない!」という人が多い交通ルールといえば、「あおり運転」です。いったいどのような運転が、あおり運転となってしまうのでしょうか。

あおり運転の定義は?

2020年6月に改正された道路交通法により「あおり運転(妨害運転)」が厳罰化されました。次の項目があおり運転違反に該当します。

・通行区分(左側通行)違反
・車間距離を詰める
・急ブレーキをかける
・不必要なクラクション
・急な進路変更(割込み)
・ハイビーム威嚇の継続
・乱暴な追越し
・左からの危険な追越し
・幅寄せや蛇行運転
・高速道路での最低速度違反や駐停車

また、故意でなくとも、近くを走る運転者の感じ方によっては、あおり運転と判断されるケースもあるため、注意しましょう。

■運転中のゴミのポイ捨ても違反行為?

高速道路上や出口などで、たびたび見かけるゴミの山。これらは、運転中の車内からポイ捨てされたものが大半です。運転中のポイ捨ても道路交通法違反となるので、注意が必要です。

運転中に捨ててはいけないゴミは?

道路交通法で規定されている「運転中のポイ捨てにあたる行為」は次の通りです。

・石、ガラスびん、金属片や、その他道路上の人や車両等を損傷するおそれのある物を投げたり、発射したりすること
・道路で進行中の車両から物を投げること

以上の内容から、運転中の車内からゴミを捨てる行為は立派な交通違反。ゴミのサイズや種類に関係なく、禁止されています。

しっかり覚えていないと、うっかり間違えてしまう可能性大!

交通ルールはかなり細かく決められているため、すべての内容を確実に覚えることは難しいかもしれません。しかし、決められている内容の大部分は、一般常識の範囲で判断のつくことばかり。

明確に覚えていなかったとしても、どうすれば安全にクルマを走らせることができるかを基準に判断することが大切です。そして、気になる交通ルールが出てきた際には、その都度、内容を確認するようにしましょう。

文:先川知香/編集:奥村みよ(PASSERBY GRAFFICS)+ノオト

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