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クルマがますます好きになる! 絶対に読んでおきたい名作クルマ漫画

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『サーキットの狼』や『頭文字D(イニシャル・ディー)』を始め、1970~1990年代は多くのクルマ漫画の名作が誕生しました。この頃は、クルマがモテる男の条件と言っても過言ではないほど、クルマ自体がステータスの象徴となっていた時代。漫画に登場した車種が人気となるなど、クルマ漫画が流行や市場に影響を与えるほどでした。

では、当時と比べクルマに熱狂する若者が少なくなった今、クルマ漫画の世界はどうなっているのでしょうか?  東京都文京区で、マンガ専門の新刊ブックカフェ兼ギャラリー「マンガナイトBOOKS」を運営しながら、漫画文化を広める活動を行うマンガナイト/レインボーバード合同会社代表の山内康裕さんに、“最新クルマ漫画事情”を伺いました。

山内 康裕(やまうち やすひろ)
一般社団法人マンガナイト代表理事、レインボーバード合同会社代表社員。“マンガ”を軸に施設・展示・販促・商品等のコンテンツプロデュース・キュレーション・プランニング業務等を提供している。2018年に、マンガ専門の新刊ブックカフェギャラリー「マンガナイトBOOKS」を設立。一般財団法人さいとう・たかを劇画文化財団理事、文化庁メディア芸術連携基盤等整備推進事業有識者タスクチーム員、一般社団法人国際文化都市整備機構(FIACS)監事等を務める。
http://manganight.net/

クルマ漫画の源流は大きく2つ

――今回はオススメの作品を紹介していただこうと思うのですが、その前にクルマ漫画の歴史や現状を教えていただけますか?

山内:クルマ漫画には、いわゆるスーパーカーを題材にした公道バトルなど、クルマ自体をフォーカスしたものと、サーキットでのドライビング技術を競うようなカースポーツを主題にしたものも大きく2つのタイプがあります。

たとえば『サーキットの狼』は、前者ですよね。連載されていた『少年ジャンプ』にスーパーカーカードのおまけが付くなど、子どもたちの憧れの対象となっていったのですが、一方で“峠を攻める”といった公道バトルは、暴走族のようなヤンチャなことへの所望にも通じるものがあったんです。

そうした、少しアウトローな世界への憧れに乗って、発展していった側面もあります。昔に比べると今はたとえマンガの中であっても暴走行為を肯定しにくくなっていますので、公道バトルをテーマとした新作は減ってきましたね。

――なるほど。たしかに、反社会的行為にあたる公道バトルをテーマにはしづらい時代になっていますよね。では、どんな作品が生まれてきているのでしょうか?

そうした作品に代わって2000年以降に盛り上がってきたのが、“レストア系”と言われる新たなジャンルです。クルマ好きの人たちが、旧車や絶車と呼ばれる古いクルマを直して楽しむ内容ですね。そんな中から今回はレース系、公道系、レストア系と、いろいろな角度から楽しめるクルマ漫画5作品をピックアップしてみました。

漫画のプロが選ぶ「今読みたいクルマ漫画」はこれ!

■レーシングドライバーの葛藤や走りの魅力が詰まった『capeta(カペタ)』

レースの登竜門であるカートから世界最高峰レースであるF1へと、ステップアップして行く物語。ドライビングテクニックやサーキットの走り方といった、スポーツ(モータースポーツ)としてのクルマの魅力も描かれています。一方で、走りの才能を持つ主人公の平勝平太(たいら かっぺいた)が、ライバルと戦いながらカート、F3と戦いのステージを上げていく中での葛藤や成長が描かれているスポーツ漫画という側面もあるため、クルマに詳しくなくても楽しめます。

才能あるレーシングドライバーがどんなことを考え、何を見ているのかなど、普通の人ではわからない領域を実際に取材した上で描いているので、リアリティもあって興味深い内容です。読んでみると、「カートに乗ってみたい」「レースを見てみようかな」と思えるようになりますよ。

▼capeta
作者:曽田正人
出版社:講談社
掲載誌:月刊少年マガジン
単行本:全32巻

■“男の夢”としてのクルマを描いた『カウンタック』

あるとき、平凡な毎日を過ごしていた30代の空山舜 (そらやま しゅん)のもとに、子どもの頃に書いた自分宛ての手紙が届きます。そこに、「25年後の自分は社長になってランボルギーニ・カウンタックを買っている」と書いてあり、ひょんなことから「カウンタックLP400」を購入。そこから公道バトルをしたり女性と出会ったり、果てはオリジナルのスーパーカーを開発したりと、子どもの頃に思い描いていた未来を叶えていくストーリーです。

そんなにすぐにカウンタックが手に入るなんて……などなど、ツッコミどころは多いですが、子どもの頃にスーパーカーブームを経験してきた人なら、きっと当時の気持ちがよみがってくるでしょう。作中で出てくるスーパーカーの細かな描写にも注目です。

▼カウンタック
作者:梅澤春人
出版社:集英社
掲載誌:週刊ヤングジャンプ
単行本:全28巻

■『頭文字D』の現代版? 未来の公道バトルを描く『MF GHOST』

今の社会では受け入れられなくなっている公道レースを、未来を舞台にすることで架空の世界の物語として入り込みやすくしたのが、『MF GHOST(エムエフ・ゴースト)』です。『頭文字D』の作者である、しげの秀一先生の作品で、『頭文字D』の世界観を受け継いでいる作品です。登場する車種も、トヨタ「86」です。

自動運転車が普及している近未来が舞台で、純粋にクルマをチューンナップしていくようなクラシックなレースが男の魂を熱くさせる存在として描かれています。正統派の走り屋系クルマ漫画が好きな人にオススメしたい作品ですね。

これまでの走り屋系漫画は、実際にまねができるような時代背景のもとで読まれて人気となりましたが、この『MF GHOST』は、舞台を近未来にすることで、リアルの世界とは切り離して公道レースの世界観を楽しめることが新しい、これからのクルマ漫画の王道になり得る作品だと言えます。

▼MF GHOST
作者:しげの秀一
出版社:講談社
掲載誌:週刊ヤングマガジン
単行本:既刊9巻(2020年12月1日現在)

■女子目線で楽しめるレストア系クルマ漫画『ぜっしゃか!』

『ぜっしゃか!‐私立四ツ輪女子学院絶滅危惧車学科‐』は高校の絶滅危惧車学科、通称「絶車科(ぜっしゃか)」が舞台で、女子たちが古いクルマをレストアしてよみがえらせていく物語。クルマを直しながら、そのクルマとの思い出も一緒に直していくようなアットホームな内容で、とても読みやすい作品です。

男性目線の作品が多いクルマ漫画の中で、旧車を扱いながらも女子目線となっている点が新鮮で、クルマが題材にはなっているものの、「古いものは思い出と一緒に大切にしていこう」とメッセージもある、ほっこりとした新しい世界観のクルマ漫画になっています。とはいえ、表紙を見てもらうとわかるように、登場する車種は「スバル360」や「フェアレディZ」などの本格派。クルマの描写も精密で、クルマ好きが読んでも楽しめます。

▼ぜっしゃか!‐私立四ツ輪女子学院絶滅危惧車学科‐
作者:せきはん
出版社:KADOKAWA
掲載メディア:コミックNewtype
単行本:既刊3巻(2020年12月1日現在)

■モノを直す楽しさ満載!リアル系レストア漫画『ガタピシ車でいこう!!』

『ぜっしゃか!』が女子目線のレストア系なら、『ガタピシ車でいこう!!』は男性目線のレストア作品。他の漫画と違うのは、作者である山本マサユキ先生が実際に旧車を直していく過程をレポにした実録であること。山本先生は、フィアット「パンダ」や「500L」、三菱「ジープ」、ルノー「4(キャトル)」などを所有してきたクルママニアで、塗装屋さん出身ということもあり、どんな作業も自分でやってしまいます。

ピカピカに仕上げるのではなく、「車検に通るなら、パテ埋めでもOK!」というような、DIY的レストアがメイン。クルマの車種にそこまでこだわりはないようで、直したクルマを乗りつぶすわけでもない。偶然見つけてきたボロボロのクルマを、自分で工夫しながら直していくというカーライフをリアルに描いています。実際の作業工程の写真も掲載されているので、クルマ漫画では異色のノンフィクション作品と言えますね。全4巻ですが新シリーズもあり、今はTwitter連載『WEBガタピシ車』で続いています。

▼ガタピシ車でいこう!!
作者:山本マサユキ
出版社:講談社
掲載メディア:週刊ヤングマガジン
単行本:全4巻

クルマ漫画は「憧れ」から「対話」に進化している

――どれも楽しそうな作品ばかり、ありがとうございました。ピックアップしていただいた作品を見ていると、クルマ漫画は時代の変化を映し出しているように思えますね。

山内:そうですね。愛車で峠を攻める公道バトルが、憧れから社会の価値観の変化によって迷惑行為へと変わって、昔のようなクルマ漫画は少なくなった一方で、公道ではなくサーキットで速さを追求する『capeta』は多くの読者に感動を与え、スポーツとしてのクルマの注目度を向上させました。

しかし、“速さの追求”が、レーシングドライバーなどその競技者だけのこととなった今、カーレースは、ゲームやVRなど超現実になったと言えます。子どもたちが大好きな、ロボットヒーローものファンタジー作品と近くなっていると思います。

――自分でできることが「速さの追求」から「レストア」になったとも言えそうですね。

はい。リアル(=現実)を感じられる作品として、レストア系クルマ漫画が登場して、人気となったと考えられます。見方を変えると、車との現実的な対話が主題とも言えます。とはいえ、大衆受けという意味では難しいカテゴリーです。かつての『サーキットの狼』や『頭文字D』のように大きな影響を与える作品は、なかなか生まれにくいでしょうね。

でも、クルマ漫画は読むだけでその時代に合ったクルマの楽しみ方を教えてくれるバイブル的存在であるとも言えますよ! ぜひ、実際に手にとって読んでみてくださいね。

――漫画は大衆文化であると考える山内さん。クルマ漫画も、その次代ごとのクルマの楽しみ方が描かれているようですね。まずは今回のオススメ5作品を読んでみたいと思います!

取材・文・写真:先川知香 編集:木谷宗義(type-e)+ノオト

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